有松

 山車まつりは、有松天満社秋季大祭として、10月の第1日曜日の前日および当日、天満社と有松東海道を主会場として開催されています。
 江戸時代の天満社のお祭りには、祭礼車が曳かれていたと文献に残されていますが、現在の様な山車まつりになったのは、山車が明治時代に各町に備えられてからです。
 山車まつりは、前夜祭・本祭・夜祭りと構成されており、前夜祭・本祭は神事として行われ、夜祭りは住民のお楽しみの行事として行われています。
 行事の内容は次のとおりです。青字の行事は動画(音声付き)が掲載されていますのでご覧下さい。

まつりの内容
○前夜祭(土曜日)
①献灯祭(けんとうさい)(19:00)
 文嶺講総代長・副総代長が提灯を掲げ天満社に昇殿し、出御(しゅつぎょ)の儀でいただいた御幣(ごへい)を梵天(ぼんてん)の先端に掲げ、祭りの神事が始まります。
②御神幸(ごしんこう)(19:30)
 神様の町内視察と祭りの安全祈願のため、神様が載った梵天を先頭に、有松東海道の西の端で梵天を先頭に左まわりに3周して東海道を東に向かい、松原秋葉社まで行き境内で梵天を先頭に3周し、祭礼本部(中町年行司)に戻ります。
③囃子込み(はやしこみ)(18:00)
 明日がお祭りであることを東海道筋以外の町民に伝えるために行います。3町それぞれが祭り提灯で飾られた笹竹を山車方・楫方が持ち、大太鼓を鳴らし、賑やかにお囃子を演奏しながら各々の地域を廻り、所々でご祝儀をいただきます。

○本祭(日曜日)
④出立ちの儀(9:30)
 各山車係は昨夜の献灯祭でいただいた山車に掲げる御幣を山車の大天井奥(おおてんじょうおく)に掲げ、その他祭りの準備を整えた上、各祭り関係代表者が祭礼本部(中町年行司)前に集合し、総代長の挨拶と山車長の乾杯で祭りが始まります。
⑤山車曳き(10:00)
 梵天を先頭に、西町の神功皇后車(じんぐうこうごうしゃ)が出発し、山車曳きが始まり、唐子車道に待機の中町唐子車(からこしゃ)が続き、わかれ道に待機の東町布袋車(ほていしゃ)が続き、松野根橋 まで曳かれます。
⑥車切り(しゃぎり)(松野根橋、10:40)
 からくりを披露した後、楫方が山車の片側を持ち上げ、山車を回転させます。道路は狭く、かつ平坦でないため大変難しいが2~3回転させ、そのまま松原東海道の坂道を担ぎ上げます。この間、囃子方は調子の早い車切り用お囃子を演奏する。この車切りの間に、文嶺講3役は梵天を先頭に松原秋葉社に御参りをします。
⑦角付け(かどづけ)(11:45)
 松野根橋を出発した山車は東海道を西に曳かれ、わかれ道(有松郵便局前)に到着すると、桶狭間神明社に向かって角付けを行ない、絞会館に至ります。
⑧山車勢揃い(12:10)
 竹林を背景に絞会館広場奥に勢揃いした3台の山車は、各山車ごとにお囃子に合わせからくりが披露されます。その間、各町の祭り及び山車の説明が名調子で行われます。
⑨車切り(中町交差点、13:10)
 山車が西行中、有松中心地の中町交差点内で車切りが1回転行われます。
⑩すれ違い(13:30)
 有松東海道の西の端に到着した山車は、先行車と後続車とのすれ違いが行われます。狭い東海道の、しかもその1ヵ所のみしかできないことから、山車曳きの見どころとなっています。
⑪からくり奉納(13:50)
 各山車を切り通しに入れる時、入口で天満社にからくりを奉納します。
⑫総参り(14:15)
 切り通しから天満社に、梵天を先頭に、山車の一同は小太鼓を竹竿に吊るし、それを楫方2人が肩に担ぎ、楫方・囃子方・人形方が続き、長い石段では途中で休まず、一気に上の広場に駆けあがります。上の広場では、梵天を中央に立て、総代長以下総員が梵天の周りを左わりに3周したあと、梵天を先頭に、文嶺講・山車・厄年会等の代表者が昇殿し、還御(かんぎょ)の儀を行い、御幣を天満社にお返しします。これで秋祭りの祭事(神事としての祭礼)が終了します。

○夜祭り
⑬夜祭り準備(提灯取り付け)
 各山車に提灯を取り付けます。吊り下げられる提灯は5連灯から2連灯があり、取り付けはなかなか大変です。
⑭囃子込み(18:00)
 山車会館の前に東町山車関係者が集まり、総代長の挨拶と楫方長の乾杯の音頭で夜祭りが開始されます。 囃子込は山車を迎えに、わかれ道(有松郵便局)から、総代長・副総代長を先頭に、東町の山車方・楫方が笹提灯(ささちょうちん)を掲げ、囃子方は小太鼓・鼓・笛・三味線を囃し西に向け出発します。中町山車関係者は、中川橋(東町と中町の境)で東海道両側に並び提灯を高く掲げ東町を迎え、そのあとに続きます。
西町山車関係者は、笹加(ささか・中町と西町の境)の前で一行を迎え、そのあとに続き、東海道の西端に提灯が飾られ待機している山車に至ると、囃子ながらそれぞれの山車の周りを左まわりに3周し、囃子込みは終了します。
⑮夜の山車曳き(18:30)
 ろうそくが灯った200個以上の提灯で飾られた3台の山車が、東に向かって曳かれ、美しく・幻想的な夜祭りが始まります。
⑯からくり披露(18:50)
 絞会館に山車が至ると、東町・中町のからくりが行われます。終了後、豆絞りの手拭いが山車から観衆に振る舞われます。
⑰夜の車切り(19:30)
 松野根橋で、提灯を灯しとても華麗な夜の車切りが行われます。
⑱二車分かれの儀(20:20)
 各町の山車が今日の山車の活躍を称え、来年再度会うことを誓います。
 東町の山車と西町の山車は、絞会館の前で別れの挨拶を交わします。
 東町の山車と中町の山車は、中川橋で別れの挨拶を交わします。
 中町の山車と西町の山車は、笹加の前で別れの挨拶を交わします。
その後、各山車は山車庫に収められ、山車関係者は祭礼本部に集合します。
⑲総納め
 総代長の挨拶のあと、山車長の音頭で三本締めを行い、これで祭りは全て終了します。